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2015年4月30日 (木)

「存立危機事態」と「重要影響事態」 (大阪日日新聞・一刀両断・小林節)

2015/4/28

 もう1年以上も大論争を続けてきた「集団的自衛権」の解禁(解釈改憲)の話であるが、ようやく5月の連休明けからそのための法律の整備に向けた国会審議が始まるようで、政府の方針が明らかになった。

 その際に注目すべき新概念はたった二つである。「存立危機事態」と「重要影 響事態」である。それにしても、政府はあたかも主権者国民に理解させまい(関心を持たせまい)として意図的に意味不明なネ ーミングをしているのではないかと疑いたくなってしまう。

 「存立危機事態」とは、要するに、他国を守るための海外派兵(つまり集団的自衛権の行使)ができる場合のことで、「重要影響事態」とは、要するに、わが国を守るために早めに海外派兵して他国軍を後方支援できる場合である。だから、前者は「集団的自衛権行使事態」と、そして後者は「他国軍後方支援事態」と呼んだ方がよほど分かりやすい。

 政府は、これらの海外派兵を憲法「解釈」で解禁できると 言うが、それは明白な憲法違反以外の何ものでもない。条文の意味を超えた(破壊する)「解釈」は解釈ではなく、単純明快に違憲である。

 9条は1項で「国際紛争を解決する手段としての戦争」(これは国際法の用語で『侵略戦争』を意味する)を放棄している。だから、自衛はできる。しかし、同2項は、「軍隊」と「交戦権」(つまり海外で戦争を遂行する組織と資格)の保持を禁じている。その結果、わが国は、自衛隊(第二『警察』)を用いて、わが国の領域(領土、領海、領空)とその周辺(公海、公空)を戦場とした自衛(専守防衛)しかできない…という立場を堅持してきた。

 その立場を捨てて海外派兵を解禁しようとするならば、少なくとも憲法9条2項を削除(改正)する必要がある。

 にもかかわらず、現行憲法をそのままにして海外派兵を認めよう…というのだから、私だけでなく、主権者国民の過半数が「理解できていない」という世論調査結果が出てしまうのである。

 安倍首相は、折に触れて「丁寧に説明する」と言うが、私の記憶する限り、いまだ一度も丁寧に説明していない。国会における野党からの質問に対しては、論点をそらすか、言葉尻を捉えて開き直るしかしていない。

 今度こそ、丁寧に説明してほしい。

(慶大名誉教授・弁護士)

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コメント

これは当然でしょう。

戦前の日英同盟の破棄が日本が第二次大戦につき進まなければならなかった要因の一つです。
同様に日米同盟が破棄された場合、日本が戦争に巻き込まれる可能性は飛躍的に高まるでしょう。

では破棄されないようにするためにはどうするか?
日英同盟の場合、日本軍の派兵が出来なかった事が破棄の要因の一つでした(アメリカは派兵した)

実際に派兵するしないに関わらず、派兵出来る可能性さえ潰してしまうのは間違っていると思いますヨ。

そしてどこまで許すべきなのか?
それがこれからの議論で決めるべき事でしょう。

それに論点をずらしているのは野党の方だとしか思えませんね。

投稿: みやとん | 2015年4月30日 (木) 13時01分

内閣法制長官の首を挿げ替えて自分のお友達である谷内NSC長官の推薦する小松氏を任命してまで、違憲立法を押し通したのは、多額の政治献金をくれた軍需産業10社に対するお礼なんだろうな。何しろ、2013年の各社の献金額は、前年の二倍だもの。見た目は日本の企業みたいだけど、外資比率を見れば、もはや日本の企業ではない事が解る。外資=ユダヤ資金。過去の歴史から解る事は、ユダヤ戦争屋の金儲けの為に戦争が起こされてるって事。比例選挙ってユダヤの狗から順に当選させる仕組み。自民は朝鮮カルト、民主は、肥溜め。どちらも裏にユダヤがいる。

投稿: 三毛猫 | 2015年11月 8日 (日) 02時20分

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